頑張って、ざっとですが読んでみましたけどね、まあ何かけっこう難しい。
旅芸人というのが現代ではすっかり絶滅してる文化なので、今一つ感覚がつかめないんですね。大正15年・昭和元年の作品らしい。
ヒロインとなる踊子のほうは14歳らしいですが、今の時代、14歳の少女を旅芸人のメンバーとして連れ歩いてたらそれこそ児童虐待とか何とか言われかねないですからね。
女優の主演で映像作品にもなってるようですけど、たぶんこの小説の大事なところは踊子が最初17歳くらいに見えたところ14歳だったってところなのかなあと。主人公が20歳。この作品や「眠れる美女」のせいで川端康成は一部ではロ〇コン扱いされてますけどね。
圧倒的な年の差、そして身分の差(エリート学生と、旅芸人)っていうのがポイントなんでしょうね。無邪気そのものの少女との交流の中に、主人公が清冽な何かを見出すという。だから、何か言ったら言い返してきそうな同年代の踊子じゃきっと作品として駄目だったんだろうなと思うわけです。
いずれにせよ、すっかり西洋風に染まってしまった現代においては、むしろ古文に近い。失われた日本の情緒という感じが強いです。