みちのく砂丘Ⅱ

仕事とあまり関係ないことについて書きます。

ラブクラフト全集1(再)

 

ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))

ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))

 

 

1回目はざっと読みだったので再度読んでみました。

特に「インスマウスの影」と「闇にささやく者」は熟読した。

どっちも今読むと、まあパターン化されたSFホラーですけど、発表された当時はものすごく新鮮だったんだろうなと思いますね。だからある種狂気じみたところも含めて人気が出たのだろうなと。

 

インスマウスの影」のすごさは、不死と言うのが実に歪で怪奇なものだということを描いているとこですね。不死って基本的にイメージ良いと思うのですよ。中国の特に始皇帝なんかは不死の秘薬を求め続けたと言いますし、他の神話でも不死鳥(フェニックス)なんか綺麗な姿で描かれてます。ところがインスマウスで不死の力を得た者たちは偉大でも綺麗でもなく、半永久的な生命と引き換えに、人間としての姿を失い、異様な姿に変化してしまってるわけです。でも普通は人間は死ぬわけだから、不死と言う異常な力を得た者が異常な姿になるのはある意味正当な帰結なんだろうなと。

 

「闇にささやく者」は宇宙交信の謎を追う人物が徐々に狂気(あるいは本物の宇宙人)に取りつかれていく様を、その科学者と手紙のやり取りをしている教師の視点から描いた物語です。日記や手紙の文面が徐々に正常さを失ってコワれていくというネタはホラーではよくあるところですが(バイオハザードの「かゆ うま」もそうですね)、その原型はこの辺りなのかなと。

 

半魚人にせよ宇宙人にせよ、とにかく人間以外への恐怖を克明に描く。そしてラヴクラフトはきわめて偏狭な人種主義の面もあったと言われています。たしか本文中に、白人以外への差別的なニュアンスの言葉が多いんですよね。今じゃ問題になるであろう白人至上主義みたいな感覚が随所に表れてる。黄色人種や黒色人種に対する嫌悪が、作中の異なる者への恐怖に投影されているようにも読めます。

 

ただ、この世の(というかアメリカ大陸の)どこかに人知れぬ異界があるっていう着想はホント素敵だなと思います。当時の人々もマサチューセッツ州、特にイプスウィッチからニューベリーポートを繋ぐ辺りの地域のどこかにアーカムインスマウスがあるかもということで思いを馳せたんでしょうね。人気が出たのはわかる気がする。