かなり積んでましたけどようやく読みました、安部公房『カンガルー・ノート』。長編小説としては著者最後の作品のようです。
晩期に書かれた作品だけあって、他作品に比べると、死とか病院とかを思わせるシーンが多いですね。
足に「かいわれ大根」が生える奇病に見舞われた主人公が、なぜか自走する病院ベッドに乗って旅に出るという物語です。相変わらず恐怖と滑稽さと猥褻が混ざったような世界観。最後のシーン付近が特に好きです。
何度か登場するヒロイン的な少女がいるんですが、読み終えてから振り返ってみると、使者を冥府に送る死神みたいな存在だったのかもしれない。
題名含めて、理解するのが難しい(不可能?)前衛的な小説です。