これも積んでいたのを(と言っても1月発売なのでそんな長期間じゃないですが)読みました、青崎有吾『図書館の殺人』。
今回は、「青春」推理としては面白かったです。帯にも書いてありますが青春要素は本当に面白い。ただ、本体となる推理の部分はちょっとなー…と思いました。
ネタバレ防止のために久々にPCキーボード暗号で書きますけど、真相読んだ後に「おかしくない?」と思った点は以下の通り。
「のちもに のにかかちすち のちいかかい とんらなのら みらのらすな」
「のにすなみにとくにかいもら きいみこち しい のにすなくにかとなんらな みちにみらみに」
それに、探偵が気づく経緯もちょっとご都合主義すぎるし。
まあ、あっさりアンチミステリ(或いはデウス・エクス・マキナ的展開)に逃げるようなのよりはよほど好感持てますけどね。
それはそうと、今回は今までよりは若干詳しく作品の世界観が語られています。
現実にもある固有名詞として横浜国立大学が出てきます。
裏染天馬シリーズの舞台となる「風ヶ丘」は、横浜駅から海老名に向かう路線で横浜から数えて5駅目、そして横浜国立大学の最寄り駅から1駅のところにあるとのこと。ちなみに今回は直接の舞台ではないですが、風ヶ丘高校は公立で、教室棟は3棟あるようです(『体育館の殺人』見取り図)。
まず上の、駅の条件から当てはまるのは相鉄本線の「星川」駅(追記:最初「和田町」って書いてましたが、横浜駅を1駅目とすれば星川ですね)。
でも近くにそれっぽい高校はないんですね。
で、まあ架空の小説世界のモデルを探しても仕方ないとは思いつつ(暇人)、「これか?」と思った高校が二つ。
一つは「県立横浜翠嵐高等学校」。寡聞にして知りませんでしたが県下一クラスのエリート公立高校のようです。横浜国立大学の近くで、上空から見ると校舎が三つ連なりという条件は満たしてます。
ただ、横浜市の中心部にかなり近く、付近に首都高が走っていたり、三ツ沢競技場があったりします。
「風ヶ丘」は、作中で神奈川県内にあることは間違いないのですが、ただそこまで都会的で騒がしそうな場所にあるイメージはない。だから、近いけど多分違うかなと。
(追記:星川駅の近くには「横浜市立桜丘高校」があるけど、同様の理由&校舎が三つ連なりではないので候補からは外しました。作中の高校は大きな公園や競技場に隣接してるって設定ではないですし)
こっちが本命ですが、「県立希望が丘高校」。海老名駅から相鉄本線で7駅くらいのところにある希望ヶ丘駅が最寄り駅です。見てみると偏差値65くらいで、進学校としては準一流校(1.5級くらい)の位置づけですかね。
駅の設定は現実と作品では違うけど、「風ヶ丘」と「希望が丘」で名称が似てるし、喧騒な横浜中心部からは離れた片田舎的な雰囲気があるのも条件に合ってる。校舎が三つ連なりで、これも条件を満たしてます。Googleマップで見降ろした時の校舎と校庭の位置関係も風ヶ丘高校に似てる気はする。
あとまあ、作中に出てくる登場人物の雰囲気も、そこそこ勉強してて受験への関心も高いけど、成績で鎬を削る一流進学校って感じではないですよね。どこかのんびりしてるというか。
そこら辺の雰囲気も総合勘案すると、「風ヶ丘」のモデルは「希望が丘」かなあと勝手に思ってます。
まあこんなのは邪馬台国がどこにあるかみたいな議論以上に決着不可能な話ですし(そもそも架空の話なので意味なし)、実際に小説作るときは現実世界のいろいろな箇所を混ぜ合わせて作るようですし(ゲームですが、ペルソナ4の八十稲葉市は長野県の町や西日本の田舎の風景をミックスしてあるようですね)、意味全くないのですが、考えるのはけっこう面白い気がする(自分だけか?)。
(追記)
『図書館の殺人』の表紙絵背景には実は図書館の玄関が描かれているんですが、その造形が、横浜市旭区にある旭図書館に良く似ています(Googleで見られる)。
そして、同じ横浜市旭区には「希望が丘」もある。
作中での位置関係こそ保土ヶ谷署管内に変更されてますが、やっぱり「風ヶ丘=希望が丘」かなと。
こんな記事も見つけました。
(参考記事)
まあ、相鉄本線沿線で、保土ヶ谷から海老名を結ぶエリアのどこかにある片田舎の街、ということなんでしょうね。