みちのく砂丘Ⅱ

仕事と関係ないことについて書きます。

回想のブライズヘッド その2

再読中です。

 

回想のブライズヘッド〈上〉 (岩波文庫)

回想のブライズヘッド〈上〉 (岩波文庫)

 

 

セリフがいちいちけっこう面白いのに気づきました。意味は取れないけど。

 

「(中略)服装はね、立派な屋敷に泊まりに招待された時みたいなのがいい。ツイードの上衣にフラノのズボンなんていう格好はいけない。――かならず三つ揃いを着ることだよ。ロンドンの洋服屋に作らせるんだね。その方が仕立てもいいし、支払いもせかされないですむ……クラブはさしあたりカールトンに入っておいて、二年目の初めにグリッドに入るといい。自治会に推薦されたかったら――それも悪くないが――まずキャニングとかチャタムとか、自治会以外の討論会に出て名を売るんだ。初めは、原稿を書いていって読むことだよ。……ボアズ・ヒル中産階級どもとはつきあうなよ……」

 

これは主人公にとってオックスフォード大学の先輩にあたる従兄、その大学の中ではクラブ活動などで成功(いわゆる「リア充」)している従兄が、主人公(チャールズ・ライダー)に対して大学生活・寮生活の注意を与えているところですね。

実際には主人公はこの従兄のようにシャキシャキとした生活を送ることができず、親友である貴族セバスチアンと一緒に放蕩な遊び三昧の生活になってしまい、そこにドラマが生まれていくわけですが。

 

こういう伝統的かつ英国貴族的な文化(「中産階級どもとは」のセリフに端的に表れているように)と、第一次世界大戦後に隆盛を迎えつつあった新時代(アメリカ的?)の文化とがぶつかり合って徐々に英国貴族的な文化が色褪せた過去のものになっていく過程を、チャールズ・ライダー自身の変化を通して描いているような感じなのかなと。

 

一回目もじっくり時間かけたつもりではありつつ、そこまでは読み込めませんでしたが、再読は少しゆっくりとチマチマと。