前回記事
ポーランドの作家、イヴァシュキェビッチ。
前回紹介した『尼僧ヨアンナ』が個人的にイマイチだったのですが(悪魔憑きの話なのでついていけない人にはきつい)、残りのを読んでみました。
そしたらけっこう面白かった。
読む人少ないと思うのであらすじ込みで書きます。けっこう雑読みなので違ってたらすみません。
「ウトラタの水車小屋」
キリスト教会に入って出世を目指していた青年ユレクが人妻との恋愛に転んでしまい、けっきょくその人妻と一緒になって幸せを追い求めるものの、世間の風は冷たく、生活は苦しく、最後には病に倒れて死んでいきます。ユレクはある意味幸せだったんだろうか…。
「台所の太陽」
下女イグナシアが、イケメン御曹司のトルベンと、貧乏で老けてはいるが敬虔なセルツァシュとの間を行ったり来たりした結果、最終的にはやっぱりトルベン、ということで愛を告白するものの、傷心のトルベンから拒絶されて射殺してしまうという物語。ほのぼのっぽい題名の割に一番東欧らしい(?)気性の激しさが出てると思います。
「セジムア平原の戦い」
17世紀のイギリス。清教徒革命に伴う内戦で、自軍の理念にどうしても共感できない少女は王党派の軍隊に、自軍の作戦を密告しに行きます。しかし相手兵士からは信じてもらえず暴行され、付き添ってきた弟も砲撃で死亡。内戦ではありますが、戦争のどうしようもなさと個人の無力が描かれています。
「スカリシェフの教会」
ナチス支配下のポーランド。小さな村の教会の神父のところに、裏切者(車大工のアロイス)を暗殺するように命じられたというレジスタンスの少年が贖罪(相談?)にやって来ます。神父はアロイスを知っており、殺させるわけには行かない。かと言って少年をこのまま帰せば少年が命令違反で殺される。どうすべきか。神父の苦悩が始まります。
個人的には「スカリシェフの教会」が一番面白かったかな。
現代に通じるテーマ性があるような気がしました。