古本屋で見つけて、大学時代以来の再読でした。
この作品はかなり好きです。
学生時代に読んだ時も良かったですけど、大人になってから読むとなお良い。
初期作品だけあって、トリックが粗いとかいろいろ指摘される作品ですが、そういうの関係なく作品全体に流れる雰囲気が良いんですね。
良い年してこういう言い方は恥ずかしいですが、とにかくせつない。『月光ゲーム』に似た雰囲気があります。
大人の視点で人生を振り返ったときの若き日への悔恨が、作品の底流。主人公の空知が会社を辞めたときのエピソードも、本筋と関係あるかは別として印象に残りました。
推理本体もレビューにあるほど悪くはない。でも、スマホやGPSがある今の時代では、こういう一つ一つ可能性を検討していくという味のあるアリバイ崩しは無理だろうな…。
今年3月に新装版が出ているので興味のある方にはお薦めです。