ジョイスの『若い芸術家の肖像』を数年ぶりに少しずつ読んでます。

- 作者: ジェイムズジョイス,James Augustine Aloysius Joyce,丸谷才一
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2014/07/18
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログを見る
似たような表紙のハードカバー版(図書館とかなら大体ある)のほうが、脚注がすぐ読めていいかもしれない。
キリスト教徒じゃない限り、聖書に例えた難解な表現の妙が掴めないので。
主人公は16歳の神学校生で、高校生向けとも言われてますが、まあ売春の描写とかもあるので、教科書には載らないでしょうね。でも、夏目漱石の『こころ』よりも現代学生気質には合ってると思うのです。
主人公は敬虔かつ成績優秀な神学校の生徒ですが、娼婦を買って昏い欲望を発散することを覚えてしまい、神学の勉強は熱心にしつつ、売春宿にも通い詰めるという二律背反な状況になるわけです。
思考停止した優等生から、良くも悪くも徐々に変わっていくわけですね。
そこら辺は今の高校生でも理解しうるところじゃないかな。
今の高校生って夏目漱石の『こころ』読んでも、先生がKを出し抜いたことの何がそんなに罪の意識を喚起するのかわからないんじゃないですかね…。
娘さんがKより先生を選んだならそれでいいじゃん、ってなりそう(明治時代だから親が結婚相手決めてた時代ですが、それがピンと来ないはず)。
それよりはこっちのほうがいいかもしれない。