正月休みで暇だったので読んでみました、古野まほろの天帝シリーズ4作目、『天帝のみぎわなる鳳翔』。幻冬舎移籍前の旧シリーズ(現在のシリーズ・新装版とは設定が一部異なる)では最終となる作品ですね。
でも今作はイマイチだったなあ…。
大日本帝国(現代まで帝国が続いてる前提)の艦隊を舞台にした推理劇なんですけど、本当にイマイチ。天帝シリーズはやっぱり3作目までなのかなと思ってしまった。
若干ネタバレですけど、艦隊が舞台なので結構ミリタリーな知識が序盤にたくさん出てくるんですよ。
でもトリックに艦隊やミリタリー関係なし。
これなら普通の館物でも良かったんじゃないのと思ってしまうようなオチ。
あと、せめて艦内の見取り図がないとどこでどう話が展開してるのかわからないので(通信の場面とか)これも退屈。
もうちょっと何か、艦隊とかレーダーとか関係したすごいトリックを期待してたんだけど。
あと、中途半端に既存キャラを大事にしすぎですね。おかげで本作で登場した新キャラたちの影が薄すぎる。
本作のヒロインらしき人もいるはいるのですが…。
でも、これ主人公(まほろ)は、詩織(新シリーズでは「実香」に改名)以外の女子にモテたら駄目だと思うんですよ。基本的に女性陣からはゴミみたいに扱われる、見た目も冴えない奴だけど、なぜか女性陣の中で仄暗い雰囲気のある詩織さんだけは…みたいなのが、『天帝のはしたなき果実』からの面白さであり、それが『天帝の愛でたまう孤島』で頂点に達するわけなので。
他の女子にまで易々とモテたら、それもう村上春樹の小説と同じだよねっていう。
あと金田一少年の事件簿でもそうだけど黒幕キャラみたいな奴は本当にやめてほしい。犯人の印象が薄れるんですよね。