タイトルには「ゲイ・トニー」とありますが、「天才バカボン」のような感じで、トニーという人物は主人公ではなく、主人公は、トニーが経営するクラブの用心棒です。
GTAⅣ(グランド・セフト・オート4)外伝の第二作です。GTAⅣシリーズとしては最後の作品ですね。
前回記事
しばらく積んでましたが、せっかくなのでGTAⅣシリーズ全部クリアしておこうと思い、夜更かししてクリアしました。
面白かった。
同じ外伝の「ザ・ロスト・アンド・ダムド」は後半のストーリーがイマイチでしたけど、こちらの「ザ・バラッド・オブ・ゲイ・トニー」はストーリーが終始安定して面白かったです。
全体的にシリアスで陰鬱なGTAⅣ本編や、青春が過ぎ去った後という感じで寂寥感の強い「ザ・ロスト・アンド・ダムド」と比べると、ひたすら明るくて、おバカ&ハチャメチャな展開も多いです。
言うなれば「救済編」的な位置づけですね。
GTAⅣのそれまでの二作品で解決されていなかった部分や暗い部分が、ドタバタ喜劇と明るい光の中で少しずつ洗い流されていくようなイメージです。
最終作だけあってミッションは全体的に難しいですが、時間制限のあるミッションは少ないですし、各ミッションの間のミニイベント的なものも時間的制約がほぼないので、ゆっくりとリバティー・シティを散策できるかも。
画面はこんな感じで(写真が下手ですが)、GTAⅣ本編遊んだことある人なら街の色調の違いに気がつくと思います。
前2作品よりも、全体的に昼は白っぽく太陽の光が射している感じ、夜は(GTAバイスシティっぽく)色鮮やかなネオンが彩る感じになっています。
内容としては、GTAⅣ本編の同時代史です。
本編を遊んでいるときに、本来はモブキャラ(無名キャラ。脇役ですらない一般市民やチンピラのことを指します)的な立ち位置のはずなのに、何だか妙な存在感を放っているキャラがいるんですね。
カメラワークとかセリフとかが主要キャラを映すときのそれと同じなので、少なからぬプレイヤーが「何でこのチンピラ、こんなに存在感がある扱いなの?」という違和感を覚えるはずです。でも、本編のストーリーはとにかく長いのと、終盤の展開の激しさで何となく忘れてしまう。
そこで、この「ザ・バラッド・オブ・ゲイ・トニー」を遊んでみると…、「お前かー!」と思うことになります。たぶん多くの人がそう思います。
主人公は、ドミニカ系アメリカ人です。ドミニカはスペインの植民地だった時代があるので、作中ではスペイン人扱いされることもあります。スペインと言えば「太陽の国」ですから、やっぱり本作はラテン系の軽く、明るいイメージなのかなと。
本編の主人公は東欧(おそらくセルビア)の移民、「ザ・ロスト・アンド・ダムド」の主人公はユダヤ人、「ザ・バラッド・オブ・ゲイ・トニー」の主人公はドミニカ系(ラテン系)アメリカ人ということで、GTAⅣの主人公はいずれも生粋の白人ではないんですね。この辺、かなりセンシティブなところですが、こういうところにも綺麗事抜きでさりげなく切り込んでみせているロックスター・ゲームズ(制作会社)のスタイルは良いと思います。
さて、これでGTAⅣは外伝含めて全部クリアしました(やり込み要素とかも豊富にあって、そちらはまだ達成していないものもありますが)。
本編のシリアスな展開と感動は素晴らしかったし、「ザ・バラッド・オブ・ゲイ・トニー」のハチャメチャさも良かった。
次作であるGTAⅤ(これから遊ぶ予定)の主要プラットフォームがPS4であることを考えると、GTAⅣこそがPS3の最高傑作と言っても良いかなと思います。