みちのく砂丘Ⅱ

仕事とあまり関係ないことについて書きます。

三四郎(マーガレットコミックス)

夏目漱石の前期三部作、最初の作品『三四郎』の文庫化バージョンです。

漫画としては洗練されていて、なかなか読みやすかった。 

 

三四郎 (マーガレットコミックスDIGITAL)

三四郎 (マーガレットコミックスDIGITAL)

 

 

ただ、あえて、だと思いますが、けっこう原作から改変されています。

原作をそこまで読み込んだわけではないですけど。

主に気づいた点。

ややこしくならないよう、原作ではどうなのか、だけ書いておきます。

 

・広田先生は三四郎と美禰子の関係についてあまり言及しない。

・野々宮の妹は三四郎の美禰子に対する思いには無頓着。

・菊人形を見に行くとき、野々宮の妹と三四郎は二人で並んで歩かない。

・美禰子の結婚を三四郎に告げるのは与次郎。

・三四郎(実は与次郎)が金を借りたことを憂慮する母の手紙を三四郎に渡すのは、野々宮の兄。

・三四郎はハムレットの演劇を直接観る。「尼寺へ行け」の場面は、三四郎が、ハムレットの邦訳セリフを滑稽に思う(ギャグっぽい)場面であり、物語のテーマとは関係ない。

 

このように、原作からの改変は多いですが、美禰子が清楚系というよりクールかつ魔性の女っぽく書かれているのは原作のポイントを良くとらえていると思います。

 

夏目漱石の作品はそれぞれ独立していて続編はないので、美禰子の結婚後はどの作品でも描かれませんが、『行人』に登場する兄嫁「直子」が、性格的には共通項が多く、それに近いと言われているようです。

 

この漫画版の作者、どっちかというと野々宮の妹(よし子)と三四郎をくっつけたがってる感じはするんですよね。

漫画版では原作よりも目立つ場面が多いし(典型的なのが菊人形を見に行くときの会話)、絵的にも、美禰子よりもかわいく描いてるような気がする。

 

まあ、野々宮家と三四郎は原作でも遠縁の親戚ですし(野々宮家と美禰子との縁もあるので三四郎が美禰子とも知り合いになるわけですが)、原作でも与次郎が三四郎に「よし子さんを(お嫁に)もらわないか」と軽口をたたく場面があるし、原作のその後は描かれませんから、有り得ない展開ではないでしょうけどね。

 

その意味では「新約・三四郎」という気もします。