アンソニー・ホロヴィッツの『カササギ殺人事件』の続編、『ヨルガオ殺人事件』。
前作と同じく、作中作には名探偵アティカス・ピュントが登場します。
現実の出版業界と、アラン・コンウェイの遺した小説群「名探偵アティカス・ピュント」シリーズがリンクして、現実で起きた事件の謎が解けるという構造も『カササギ殺人事件』と同じですね。
感想としては、前作の段階で既に面白かったところ、前作よりはるかに面白かった。
前作は、アティカス・ピュントの登場する作中作は文句なしでしたが、現実世界の謎解きが少しだけバカミス方向で、パワー不足だった気がするのです。
今回は、作中作はもちろんのこと現実世界の謎解きがとにかく面白くて、最後でことごとく伏線を回収してくれたのが爽快でした。
欠点としては、前半部分は目立った事件があまり起きないのでちょっと退屈かなというところですね。ただ、終盤で一気に来ますので全体としては優れた構成でした。
わざとそう書いているのだろうと思いますが、作家アラン・コンウェイがとにかく底意地が悪くて人としては最低と言ってもいい人物として描かれてるのに対して、作中作のアティカス・ピュントはどこまでも誠実な老紳士、というのがまた面白い。
このシリーズの続編が出ることを期待しています。