スタンダールの『赤と黒』。
19世紀前半のフランス文学の古典的名作です。
最近ちょっとフランス文学に傾倒しつつあります(というとやたら高尚な感じがしますが、しっかりストⅢやオタクなギャルゲーも遊んでいるので別に高尚な性格になったわけではない)。
まあ今まで面白さがわからなかったし退屈だなと思ってたんですけど、名作が19世紀前半に集中してるんですよね。フランス革命後の激動の時代です。その背景がわかるとだんだん面白さがつかめてくる。それまで中世的な宗教観に押さえつけられていた人間の自由な思想がぶわーっと出てきた時代ゆえなのかな。
あと、これは最近の訳者さんに悪いけど、ここ最近の翻訳よりも、昭和の翻訳のほうが全体的にわかりやすくてレベルが高い気がする。翻訳って、外国語能力よりも結局は国語力だなあと思ってしまいます。
光文社古典新訳文庫のほうはいまいちな気がしたけど、この岩波文庫版(1958年)は翻訳がとても良い。
スタンダールの『赤と黒』は、バルザックの『谷間の百合』によく似ていて、テーマは青年と身分の高い夫人との恋愛です。
ひとつ前の記事のフローベール『ボヴァリー夫人』も不倫ネタなので、フランス不倫流行りすぎだろと思うわけですが、ボヴァリー夫人の場合は夫人も庶民出身なのでちょっと違いますね。
『谷間の百合』とちょっと違うのは、『谷間の百合』だとモルソフ伯爵夫人も青年フェリックスもどこか弱弱しくてメソメソした感じなのに対して、『赤と黒』は、主人公ジュリアンは野心的でけっこう危ない感じの奴だし、レナール夫人も、一見おとなしそうに見えてけっこう大胆不敵です。
後半に行くにつれてジュリアンは元々やべー奴だけど夫人も夫人で大概やべー奴だな、という感じがしてくる物語です(笑)。