みちのく砂丘Ⅱ

仕事と関係ないことについて書きます。

ハナジー(ペルソナ2 ネタバレあり)

(ペルソナ2のネタバレを含みます)

 

 

ペルソナ2の脇役、ハナジー。

本名「華小路雅」(はなこうじ みやび)という華麗な名前ですが、だいぶぽっちゃりで大食い。いわゆるデ〇キャラですね。

転んで鼻血を出したエピソードからハナジーと呼ばれるようになっています。

 

 


PS版ペルソナ2罪をプレイしてみた#000

 

これはペルソナ2罪(PS版)プレイ動画の冒頭部分ですが、動画11:10くらいに登場します。ハナジーの容貌と、大食いっぷりを見せつける登場シーン(初セリフがジュースがぶ飲みからのゲップという…)からしてギャグ担当のキャラかな?と思わせるのですが…。

 

動画13:50あたり、リサの言動にキレた栄吉が自分のフルネームを名乗るところで、ハナジーも少し遅れて驚いた様子になってますね。

これ、最初に遊んだときは大抵の人が見逃してしまうくらい細かい演出だと思います。仮に気付いたとしても、栄吉のペルソナ発動に驚いているのかな、と解釈するでしょうし。

 

その後、ペルソナ発動&共鳴のショックで倒れている栄吉を起こす場面(動画17:25)以降は何かうつむき気味の悲壮な顔になっています。

これも上手いんですよね。栄吉の名前を呼びかけてやめる場面が2度ほどあるので、「旧知の間柄かな?」と思わせる伏線は張ってあるのですが、表情の変化は目の前でペルソナ発動を見たりジョーカーの恐ろしさを見たためなのかなと解釈してしまうので。

 

後になって、ハナジーは栄吉と小学校の同級生だったことがわかります。

栄吉はバンドのヴォーカルとして「ミッシェル」と名乗っているし、ハナジーもあだ名なので最初はお互い気づかないんですね。栄吉が名乗った後はハナジーだけが気づいているというわけです。

それと気づかなかった理由はもう一つあって、お互いの容貌が変わり過ぎていたこと。

小学生当時の栄吉はでっぷりと太った冴えない少年で、ハナジー(雅)はスリムな美少女でした。栄吉は憧れだった雅に告白するのですが、「太ってるから嫌い」と言われてフラれてしまったのです。

ショックを受けた栄吉は、雅に振り向いてもらえるような男になるべくダイエットして自分を鍛え、スリムなイケメンになった上に高校でも番長と呼ばれるくらいに強くなります。行き過ぎて自分大好き、化粧までして、自分を「三品栄吉」という名前ではなく「ミッシェル」と呼ぶように周囲に押し付けるくらいのナルシストになってしまってますが。

他方、雅は小学生の時に恥ずかしさ(小学生くらいの時って告白とかを面白がってみんな囃したてますよね)から栄吉にひどいことを言ってしまった罪悪感があって、過食にはしり、すっかりでっぷりと太ってしまいます。「ハナジー」ってのもひどいあだ名ですが、本人はそういうギャグキャラ扱いに甘んじているわけですね。

 

序盤の、しかも一部は割とギャグっぽいシーンにここまでの伏線を織り込んでくるってけっこうすごいと思うんですね。

 

「ペルソナ2罪」の世界で、栄吉と雅がその後どうなるのかは、実際ゲームを遊んでみていただければと思います。

 

ちなみに、「ペルソナ2罰」は「罪」のパラレルワールド的な世界、つまり登場人物は同じですが、その因果、関係性や性格などが少しずつ「罪」の世界とは異なっています。「罰」の栄吉は雅と交際していて、バンド活動に精を出す充実した日々を過ごしています。雅も「ハナジー」などというあだ名とは無縁のスリムな美人女子高生で、栄吉と相思相愛、幸せに暮らしています。

「罰」では「罪」の主人公メンバーにはさほどの波瀾万丈はなく、平和な日々を過ごしている姿を見ることになるわけですが、逆にあまり関われないのが寂しくもありますね。

何かの因果で関われば生死を共にする仲間になり、因果の関わりがなければ単に街角で言葉を交わすだけの他人になる。

こういう寂しさを表現してるところが「ペルソナ2」の優れたところだと思います。

 

「ペルソナ」でも人間関係の書き込みのようなものはありましたが、「ペルソナ2」ほどの精密さはなかったと思いますし。

「ペルソナ」でミッシェルにあたる友達キャラは直情径行のマークかファンキーなお調子者ブラウンだと思いますが、そんなに詳しく描写されたわけじゃないですよね。麻希に憧れ続けたマークと、過去に恥ずかしいトラウマのあるブラウンを足してさらに精密に描き込んだのが栄吉(ミッシェル)だと思います。

 

ペルソナ3がヒットしたため影が薄い作品ですが、もっと評価されてほしい。