漫画はあまり読まない派ですが、これは一気読みしてしまいました、『花園メリーゴーランド』(柏木ハルコ)。
寒村を舞台に、よそ者(主人公)が排他的な村の暗黙の掟&村人達に翻弄されるという点では、フランツ・カフカの『城』に近いものがありますね。日本版の『城』と言ってもいいのかもしれない。
性的な描写は女性作家なのに(とか言うと怒られますね)、いや女性作家だからこそなのか、だいぶ濃いです。
作品世界と相まって何とも言えない陰湿さがあります。
人物像の描き方も良くて、最初は敵役っぽいかと思ったらそうでもなかったり、逆もあったりしますし、完全な敵も味方も存在しなくて狭い村の中でそれぞれ思惑をもって動いている複雑な感じが良いです。
また、バンに乗ったところで唐突にせんべいを進められたり、こたつに大人数が一緒に入っているのに妙によそよそしい感じとか、昭和の田舎感も非常に良く描写されています。昭和生まれとしては懐かしい。
万人向けではないですが、これからの季節に合いそうな漫画でした。