麻耶雄嵩の2000年の作品、『木製の王子』。
これも大学時代にジュンク堂で見かけながら買わずじまいだった小説でした。
古本屋で見かけて購入(文庫版はなぜかAmazonだと高いですがノベルス版は安い)。
読み終わった感想としては…。
まあ、謎解き部分は相変わらず「そんなの分かるわけないだろ」的な感じですが(建物の構造が推理小説のために存在しているとしか思えないくらい複雑…)、理屈は一応すっきりとはしています。
インターネット上の考察を見る前に、二度読みは必須ですね。
途中に意味がよくわからないモノローグが何度かあるのですが、二度読みするとようやく意味が分かります。トリックよりも、それがこの推理小説の真骨頂。
万人受けはしないでしょうが個人的には良作だと思います。
しかし、どうしてもシリーズヒロインの舞奈桐璃(まいな・とうり)が好きになれないですね…。
『夏と冬の奏鳴曲』読んでしまってるので。
読んでないと何で好きになれないか意味不明だと思いますが、読んだ方は共通して同じ感想ではないかと。
テーマ的には『隻眼の少女』にも通ずるものがありますね。
むしろ『夏と冬の奏鳴曲』のすっきりしない部分に、時代も登場人物も全く異なる『隻眼の少女』で決着つけたような気もします。