みちのく砂丘Ⅱ

仕事と関係ないことについて書きます。

回想のブライズヘッド

 

回想のブライズヘッド〈上〉 (岩波文庫)

回想のブライズヘッド〈上〉 (岩波文庫)

 

  

回想のブライズヘッド〈下〉 (岩波文庫)

回想のブライズヘッド〈下〉 (岩波文庫)

 

 

久々に(ざっと読みではなく)時間をかけて文学作品を読みました、イーヴリン・ウォー作『回想のブライズヘッド』。

 

なかなか、面白かったです。すごく感動する場面がある!というわけではないのですが、全体を通して読みやすい、良い小説でした。

 

第二次世界大戦下のイギリス、今にもドイツがイギリスに侵攻してくるのではないかという時に、主人公(チャールズ・ライダー)の所属する部隊が駐屯した先は、主人公の青年時代の友人セバスチアンらの一家が暮らしていたブライズヘッド邸。

主人公の長い追憶の物語が始まります。

 

こう書くとプルーストの『失われた時を求めて』に似ている気もしますが、プルーストよりも遥かに描写は簡潔で読みやすいです。

上巻では貴族の息子に似合わないセバスチアンの放蕩な生活ぶりが描かれますが、下巻ではセバスチアンの影は薄くなり、むしろ主人公をはじめとしてセバスチアンを囲んでいた家族や友人らのその後が描かれます。

上巻読んでる時は正直少し退屈だったのですが下巻は面白い。上巻で幼い子供だった人物は大人になり、若々しい青年だった人物は人生の苦みを知った壮年になり、意外性に富んだ展開が待ち受けています。

まず通しで読んでみて、それからもう一回上巻を読むといいかもしれません。