2年くらい前に抄訳版を読み始めてるみたいなことを書きましたが、まだ抄訳版すら読破できてません。
抄訳版も3分冊なので、つまみ食い的に後の巻から読んだりしています。
前回記事
まあ、ゲームをする元気もないくらい疲れてるときにぼーっと読むにはいいかもしれない。文章は長いし展開に起伏もないので、ある意味でのんびり読めます。
ゲルマント公爵夫人が、主人公の幻想の中では(50代とかなり年上にせよ)美しかったものが、徐々に冷然かつしたたかな社交術を持った初老の女性という風に見え方が変わるという、幻想が現実に変わっていくところとかはなかなか良い気がしました。
主人公とアルベルチーヌ(ヒロイン)がいちゃついてる場面とかはあまり好きじゃない、というか座りが悪い気はしますね。
プルーストは、(異性愛はあったかはわかりませんが)同性愛者であることは有名で、アルベルチーヌも、物語の設定上は女性ですが、実際のモデルは男性であるとされています。
主人公は物語の後半、アルベルチーヌがレズビアンなのではないか(実際に、それっぽい描写が結構ある)と悩みまくるわけですが、これ実際にはたぶんモデルとなった好きな男性が、女性のことを(女性のことも、なのかもしれませんが)好きなので、プルーストの苦悩がアルベルチーヌとの関係に反映されているのかなと。
だからアルベルチーヌのセリフや行動を物語の設定どおり、女性のものとして見るとイマイチしっくりこない場面も多いのです。
19世紀のフランス小説、バルザック「谷間の百合」のモルソフ伯爵夫人とか、スタンダール「赤と黒」のレナール夫人(いずれも悩み深く、直接的な発言をしない)と比べるとだいぶ違い、現実的であっさりしてる感じ。
アルベルチーヌは、性別は女性ですが、性格的には男性でも女性でもない両方の性質をもったような人、として読むことでようやく自然と読める部分が多い。
ただでさえ難解めな小説ですが、ここら辺は読むのに難儀しますね。