有栖川有栖の国名シリーズ最新作『インド倶楽部の謎』、読みました。
国名シリーズは短編集のことが多いのですが、これは1冊1作の長編作品です。
出だしからアガスティアの葉を使ったリーディング(前世や現世を読み取る)のシーンで、ちょっと今までとは違う、幽玄な感じのある作品になっています。
真相の意外性とかトリックの奇抜さはそこまではないんですが、さすが一流作家だけあって、神戸の街を歩きながら真相を突きとめていく過程、そこで現れてくる関係者達の人生模様の描写が丁寧で、良質な推理小説のお手本、という印象です。
国名シリーズは大学時代頃に集中的に読んだ気がしますが、また読み返してみるかなと思いました。