早稲田大文学部のセクハラ裁判で敗訴した元教授・渡部直己氏が共著した本です。
1993年の発売。予備校帰りの本屋で立ち読みしてました。
数年前に通販で中古本を買いました。
実在の小説の文章を引用し、時々褒めつつ、全体的にはこき下ろしていく感じです。このこき下ろしを受けつけられるかどうかで評価が分かれ得ますね。
文学にそんな詳しくない私のような者が文学技法というものの初歩に触れるための読み物としては面白いんですけど、これ読んで作家になれるかと言うと、多分違うのかな。
ただ、改めて、技法の大切さを教えてくれる本だと思います。「思ったままを書くのでは小説として成功しない」という、作家(志望)に対する諫言としてとらえれば。
この本を書いてる頃は、言葉は厳しくても、水準の高い文芸批評をしようとしていたんだろうなと思いますね。
ちなみに、本のプロフィールには早稲田大学「講師」とあります。
事件を起こした当時の役職(教授)は講師よりはるかに格上…というかアカデミック分野の最高位なのですが、ハラスメントの言葉が事実だとすれば、初心を失ってしまったんですかね…。
残念なことです。
自分も老いつつあるおっさんとして自戒を込めてですが。