楽天ブックスのセールでレトロ小説が安かったので購入。
『九十歳。何がめでたい』の方が書いた1971年に書いた昭和の小説。
戦時中~戦後が舞台の短編4作品です。
表題作「加納大尉夫人」は、戦時中の女性の人生の悲哀を描いた物語です。結末が…。
個人的には、中年男の悲哀と田舎の旅情が出ている収録3作目「山」が好きかな。
(ネタバレあり感想)
収録4作目「二人の女」は、要は、主人公、現実を忘れたかっただけですね。
不倫相手の妊娠と喧嘩で、急に、それまで魅力的だった不倫相手が、飽き飽きした妻に似て見えるという現象が起きた。
それって要するに夢の世界だった不倫の世界から現実に引き戻されたからですよね。
私がどこかの大学の文学部教員だったら、「主人公は、なぜ傍線部の心境になったのか、考えられる理由を100字以内で論ぜよ」って入試現代文に出題したい…。絶対できないけど。