内田百閒 『冥途』
夏目漱石の門下生の一人、内田百閒。
たしかに読んでみるとどことなく漱石の影響があるような気がします。
ちくま文庫『冥途』には夏目漱石『夢十夜』を彷彿とさせる、ただ夏目漱石よりももっと長くて数の多い夢語りが集成されています。
ちょっとホラー的な展開が多いのが特徴かな。
行間から大正と昭和初期の情緒が感じられるのも良い。
ただこの作家に対する世間の評価は必ずしも高くないようです。
西洋的自我と旧日本的倫理の葛藤を描いた夏目漱石のようなどーんとくるテーマ性がないからかな。