飛鳥部勝則というミステリ作家の1999年の作品です。
飛鳥部勝則は『誰のための綾織』の盗作騒動で、今やほぼ全部絶版になってるんですよね。
問題の『誰のための綾織』はプレミア価格で30000円くらいします。他の作品も、中古価格が10000円越えしているものがあります。
そんな中で、この『バベル消滅』は下記のkindle版もあるせいか、かなり安価です。
ブック〇フで100円だった。
内容は…イマイチでしたねー。
絶版になってる話題性がなければ逆にそんなに読まれてない作家かもしれない。
離島の学校を中心に起こる事件というコンセプトはいいのですが、何かとってつけたような展開が多いんですよね。
物語の後半、それまで脈絡のなかった登場人物たちが陶芸教室に集まって、そこの合宿で事件が起きるんですが、いくら離島ものとはいえ、その展開はちょっと強引すぎるだろ…と内心でツッコミを入れながらの読了でした。
しかもトリック見て、バベルほぼ関係ないじゃん、という。
でもバベルの塔や旧約聖書に関する教養はだいぶ深まった気がします。
100円ならまあいいかなという気もします…が、『誰のための綾織』もそうだった気がしますけど、随所にみられる「教師」という仕事に関する負(現実)の部分と、特に女子生徒に対する薄暗い感情は、何でしょうね。妙に生々しいというか、作者が某国立大の教育学専攻の出身であることと関連してるのかも?
他にもkindleで読めるのが何作かあるようなので、いずれ読んでみるか…。
ミステリとしてはイマイチなのが多いようですが、この独特のアクの強さが良いかもしれないですね。