先日逝去された(ドラクエシリーズの作曲家)すぎやまこういち氏を偲んで…というのもありますが、ファミコン版『ドラゴンクエストⅡ』を最近やり直してます。
小学校の時は自分ではクリアできなかったので、三十〇年越しのトラウマ(?)を、おっさんになった今、克服してみようという感じです。
子ども心にとにかく「なんか怖い」という印象しかなかったのですが、三十数年ぶりに遊んでみても、やっぱりなんか怖いというか、常に独特の緊張感があるゲームですね。
ドラクエⅣとかドラクエⅤ(個人的にはドラクエのピーク)は割とゆったりした気分で遊べるゲームなのですが、何が違うのか。
具体的に、よく考えるとなんか怖いというポイントをまとめてみました。
①難度が高い
純粋に敵が強い。そして味方が弱い。
攻略サイトで見た裏技(「いかづちのつえ」と「みずのはごろも」の裏技)を使っても、なお厳しいバランスです。
ドラクエⅢ以降のように隊列後方のほうが狙われにくいというシステムにはなっていない上に、高い攻撃力と集中攻撃属性持ちの敵がいるので(一人を狙ってくる)、サマルトリアの王子かムーンブルクの王女が狙われると全滅か、切り抜けても撤退を強いられることになります。
パペットマンの「ふしぎなおどり」(MP削減)も、一気に20とか30削られます。ドラクエⅡの反省があったためか、後のシリーズ作品では弱体化されてますが、もともとはかなり恐ろしい技だったんですね。
②音楽が怖い
これは、すぎやまこういち氏の功績ですね。
全体的に、不気味でおどろおどろしい曲を聴く時間の比率が高いのです。特に戦闘BGMと洞窟BGMは、他のドラクエシリーズ作品と比べても、ホラー風味が強いというか不気味な雰囲気があります。
ドラクエⅠはすぎやまサウンドの特徴がまだ前面に出てきてない感じがしますし、ドラクエⅢは勇ましさを押し出した曲が多く、ドラクエⅣは実験的でポップな曲が多く(塔の曲とか気球の曲とか)、ドラクエⅤは抒情的な曲が多い、という各作品ごとの特徴はあるのですが、ドラクエⅡのメイン成分は「不気味」だと思います。
ムーンブルクの王女加入後のフィールド曲など、たまに明るい曲があっても、すぐにあの戦闘音楽が流れるのでは、あまり心の癒しにはならないですね。
③敵デザインが怖い
敵デザインも、何か怖いのが多いです。
ドラクエの敵デザインはかわいいものが多くて、有名なのはマスコットキャラ「スライム」ですが、他にもドラクエⅠの「ゴースト」とか、ドラクエⅣの「ももんじゃ」に代表されるように、特に序盤の敵にはけっこうかわいらしいデザインが多い。
ドラクエⅤ以降はモンスターを仲間にするシステムができたこともあってか、強い敵にもどことなく愛嬌が混じることがあります。
でもドラクエⅡの序盤の敵は「おおなめくじ」「アイアンアント」「ゆうれい」というラインナップで、どれもイマイチ人語が通じそうにない。
中盤以降の「ウドラー」「ガスト」あたりは意地が悪そうな上に黒目がなくコミュニケーションがとれそうな感じが微塵もないですし(他のドラクエ作品ではあまり使われなくなった目つきですね)、きわめつけは、地形が入り組んだ地域に集団で出現する「くびかりぞく」。
これは子ども心にインパクトが強かった。
②で書いたように不気味な戦闘音楽と一緒に出現して、名前が「くびかりぞく」、そしてカッと見開いた眼つきと微妙にニヤついた口元で斧を振り上げている。
ほんとに情け容赦なく首狩りしてきそうな感じがあります。実際、最初に出くわすことになるレベル帯だとけっこうな強敵です。
④ところどころの小さな悪意が怖い
これは細かいことですけど、何か随所に、プレイヤーに試練を与えようとする「小さな悪意」を感じることがあります。
たとえば、冒険の後半で訪れることになる、とある街の風景。
右側に見えるのが「旅の扉」というワープゾーンで、遠距離移動魔法の性能がイマイチなファミコン版ドラクエⅡでは重要な移動手段になるのです。牢屋の鍵で防がれているのはともかくとして、問題はその前のバリア(黄色い波線)。バリアを無効にする魔法無しで上を通ると、体力にかなりのダメージを受けます。
なので、通ろうとすれば必ずHP(体力)かMP(呪文の力)を消費します。あの旅の扉からは長く厳しいダンジョンに繋がるわけですが、そのダンジョンに万全の態勢で向かわせてくれないんですよね。なぜそこでバリアで削ろうとするのか…。
そういうところが何とはなしに小さな悪意があって怖いかもしれない。
ファミコン版の反省があったせいかリメイク版以降は割と落ち着いて遊べるゲームになっているドラクエⅡですが、ファミコン版も慣れれば面白いです。
アプリ版はとても簡単なゲームになってますが、「ベリーハード」モードを遊ぶつもりでファミコン版に挑戦してみるのもいいかもしれません。