フロスト警部シリーズ第6作『フロスト始末』読破しました。
第6作を書き上げた後に原作者R・D・ウィングフィールド氏が逝去されたので、これが最終作品です。
終盤、もっとも重要な事件の真犯人が判明するくだりの文章が、全体的に駆け足気味で、いつもの寄り道しまくりな文体ではないところがあって、そこはもうちょっとじっくり真相を味わいたかったですけどね。
もしかしたら作家自身、自分の残された時間が少ないことを悟って筆を急いだのかもしれません。
でも夏目漱石の『明暗』みたいに終わられたら、きっと終生「あの小説の真犯人は誰だったんだろう」という感じで気になってしまってたと思うので、良い終わり方でした。
分厚い海外推理小説ということで最初はなかなか取っつきづらいところはありましたが、シリーズ全作品読み終えてみれば、どの作品も安定したクオリティで、これはハズレだったなという作品がないですね。
普通のシリーズものはどこかでマンネリ化していくので、その辺はすごいと思います。フロスト警部の相棒に当たるキャラが作品ごとに違ってたりするので、それがアクセントになってる部分はあるかなと。
思えばコロナの流行り始めの2020年1月から2年近くかけて全作品読み終えてみて、個人的な最高傑作はやっぱり、何度か書いているように、第2作『フロスト日和』でした。
上下巻ではなく一巻で完結する適度な長さ、そしてラストの緊張感が抜群でした。
ただ、けっこう独特の文体なので(それがクセになるのですが)、シリーズ未読の方はまずは第1作『クリスマスのフロスト』で耐性を付けてからのほうが良いと思います。
結構分厚いので過去作品をまた読み直してみるかなと。