みちのく砂丘Ⅱ

仕事と関係ないことについて書きます。

特攻の拓

週刊少年マガジン黄金期(主には『金田一少年の事件簿』『はじめの一歩』あたりですが)の三大ヤンキー漫画の一つ、『特攻の拓』。

2023年になって電子書籍化されました。

物語を作る原作者と、絵を描く漫画家が喧嘩したって聞いてたので、復刻は絶望視されていたのですが、まさかの復刻。素晴らしい。

ギャグ要素強めな『カメレオン』と比べると、下ネタやギャグは控えめ(というか、あってもあまり面白くない)で、三大ヤンキー漫画の中では一番シリアスですね。

 

 

三大ヤンキー漫画の中では、不良や暴走族、バイクに関する描写が一番精密だと思います。そして、不良の怖さも一番しっかり描けています。

話が通じそうな感じがしない、おとなしい人からするとまるで理解できない要因でテンションや機嫌が激しく上下するので機嫌が良くても一緒にいるのは怖い、そうそう、それが不良の怖さ(過去をちょっと思い出した)。

 

惜しいのは、途中から明らかに失速することですね。

個人的感想では10巻から明らかに失速してると思う。

渋い女性キャラが多かったせいか、天真爛漫な「雛子」という下級生キャラを登場させてしまったわけですけど、下級生キャラはリカだけで十分だったんじゃないかと思いますね。

作者も登場させちゃってから扱いを持て余したのか、結局は主人公の「拓」じゃなくて○○の彼女に落ち着いてしまいました。

 

また、ちょうど10巻あたりから、拓がだいぶ不良の世界に慣れてしまって面白くないんですよね。雛子を助けるためにタンカを切っちゃうあたりで「拓も変わっちゃったな…」と思ってしまうので(連載当時もそうでした)。

あくまで、真面目で気弱でオタクな優等生だった拓が、不良の世界に体験入学する感じが面白かったんですよ。

拓自身が不良の世界に慣れていく自分に戸惑いつつも(ギリギリでゲームとオタクの世界に足を踏みとどまりつつも)、様々な不良との出会いや、時には友情もあって、どんどんたくましくなっていく感じが良かったのに、頼られたからってすぐタンカ切っちゃうのはちょっと違う感じがします(あのあたりから優等生時代のガールフレンドが話に登場しなくなりましたね)。

 

なので、第1巻から、キリの良い9巻まで読めば充分だと思います。