昭和推理小説の巨匠、鮎川哲也先生の短編「碑文谷事件」。
墨田区の実在の地名でひもんや、と読むようです。
下記の『下り”はつかり”-鮎川哲也短編傑作選Ⅱ』に収録されています(この創元推理文庫版は電子書籍はありません)。
読み終えてみて、いや、そのトリックは細いっ…あまりにも綱渡りっ…という感じでしたが、まあ、完璧なトリックなんてない、って作中の探偵役が言ってますからね。
まあでも、悪い意味で大味な推理小説を近年けっこう読んできましたのでね。
地味で細い(バレたら一瞬)けど、きちんとしたトリックです。
何より文章が一つ一つ端正で、昭和の文章なのに読みやすいのはさすが。
上記の書籍自体は、実は社会人なり立てくらいの頃に購入したんですが(私の持っているのは1999年の初版本です)、まだ読了できていなかったのです。
年を取って、どんでん返し展開に頼ったジャンクフードみたいな大味な推理が受けつけなくなった半面、こういう淡白だけど良質な推理の良さもわかってきたので(年を取ることの数少ないメリットか)、これも少しずつ読了に向けて頑張りたい。