みちのく砂丘Ⅱ

仕事とあまり関係ないことについて書きます。

ふたたび赤い悪夢

法月綸太郎の初期三部作の最終作『ふたたび赤い悪夢』、だいぶ積んでましたが、ようやく読み切りました。

初期三部作というのは『雪密室』『頼子のために』『ふたたび赤い悪夢』です。

 

ふたたび赤い悪夢 (講談社文庫)

ふたたび赤い悪夢 (講談社文庫)

 

 

でも出来は三部作の中では一番下かなあ。厳しいけど。

展開にも推理にも無駄が全くなく、ある種の清冽さすら感じさせる『頼子のために』が凄すぎたせいで、かえって悪く見えてしまうのかもしれませんが、こちらは推理というよりテレビのサスペンスドラマ風です。

若手アイドルが名探偵こと法月綸太郎の家に助けを求めて駆け込んでくるところから始まります。

 

テレビ・芸能・マスメディア業界を舞台にした事件ですが、トリック(?)とか真相がそこまで意外なものではない上に、芸能論議(と言ってもまだインターネットもないテレビ全盛期なので今とは違いますが)とかに話が逸れすぎて、冗長な感じがするんですね。

もしかしたらテレビドラマ化を狙ったのかもしれません。

『雪密室』は多少重すぎる部分を変えればともかく、『頼子のために』はドラマ化できなさそうですからね。

結果、狙いすぎて空回ってる感はありますが。

 

この作中の法月綸太郎は『頼子のために』のラスト(ネタバレ厳禁)で心に負った傷を抱えて、後の短編集で登場する快活な飄々とした探偵役ではなく、何か厭世的で重い感じになっています。

したがって『頼子のために』を読まないと中身がよくわからないはずなので、まずは前作『頼子のために』もしくは前々作『雪密室』から読んだほうが良いです。

 

でも『雪密室』はカーの古典的名作『白い僧院の殺人』の余計なネタバレがあるので、先に『白い僧院の殺人』を読むのがいいかも。

…自分で書いててハードル高いですね。

まあ、法月綸太郎ファンなら、一種の黒歴史として買いかも。あとはバブル期のテレビや小説のノリを懐かしむことができる人向けです。