文庫版が昨年末に出ました、倉知淳の『皇帝と拳銃と』。
表紙絵が適度に不穏かつ上品でカッコいい。
倒叙型と言われるミステリで、最初に(読者には)犯人はわかっていて、探偵がそれを解き明かす過程を描くタイプのミステリです。
短編4つ。
倉知淳の代表作である「猫丸先輩」シリーズではなく、「死神」みたいな、どんよりとした風貌ながら発言内容だけは飄々とした刑事が主人公です。
ネット書評は少々厳しめのもありますが、まあマイナー推理小説をたくさん読んできた身としては、さすが倉知淳作品だけあって、心情描写を含めてクオリティ高いなあと思うわけです。他に傑作があるから、ハードル高いんですかね。
1作目と4作目はたしかにちょっと無理がある気がする。
2作目『皇帝と拳銃と』は知恵比べが面白いし、3作目『恋人たちの汀』は論理が良いです。
ネット書評見るまで気づきませんでしたが、題名がタロットになってるんですね。
今回、主人公が「死神」、短編が「運命」「皇帝」「恋人」「吊られた男」が出たので、まだ続きがありそうです。