みちのく砂丘Ⅱ

仕事と関係ないことについて書きます。

センチメンタルグラフティ その6

暗い話題が多くなりがちなご時世なので、たまには明るい記事でも書くかな。

1998年の偉大なるク〇ゲーこと「センチメンタルグラフティ」。

 

全国12の都市を回ってヒロイン達のご機嫌を伺って行かないといけないゲームです。

当時から「12股ゲーム」と茶化されていました。ちなみに今、リアル社会では6股したアナウンサーがバッシングされていますが、このゲームの交際は清らかな交際なので問題はありません。

まあ各ヒロイン、ストーリー的にはベタもベタなんですけど、元々のハードルが低いせいか、そのベタさが逆に懐かしい感じがして良く思えてきました。

 

前回記事

センチメンタルグラフティ その5 - みちのく砂丘Ⅱ

 

東京(主人公の自宅がある。ヒロインは無し)を本拠地とし、スケジュールと交通費を調整しつつ全国12都市を駆け巡るのがこのゲームの肝となる部分で、これがなかなか大変であり、面白さでもあります。

 

でも、そんな12カ所も回るから面倒なんじゃね?ということで、例えば10カ所のヒロインしか出現させないで進めてみるとどうなるか実験してみました。

夏くらいになるとヒロインが新規に出現しなくなるし、ヒロインの出現していない都市では偶然の遭遇を気にする必要がありません。アルバイトした日に偶然の遭遇をするとせつなさ度は低下してしまうのでクリアがやや難しくなります。この辺はク〇ゲー言われつつもしっかり作ってます。

ヒロインと遭遇する心配がないならその都市ではアルバイト(資金調達。東京から離れた都市ほど稼ぎ効率が良い。これもまたゲーム性を高めてます)だけに専念できるので、なかなかラクじゃん、と思っていたのですが…。

クリアできませんでした。

終盤まで割と上手く行っているように見えたんですが、もっとも重要な「回想イベント」が発生しなくなります。

このゲームでベストエンドを迎えるためには、ゲーム開始の3月から1月末までの間に目当てのヒロインの季節イベント(手紙で誘いが来る)と4段階ある「回想イベント」を全部見ないといけないのです。

そして、回想イベントについては、1段階目は12人全員、2段階目は6人、3段階目は(細かく検証はされてませんが)おそらく3人は見ないと、最終回想イベントに進めないのでクリア不可能になります。

これセガサターン版だけではなくプレイステーション版でもそうみたいですね。

12人のうちだれか一人でも出現させないと、回想イベントの2段階目までは行けるのですが、3段階目以降が一切発生しなくなるので、どのヒロインも攻略不可能になります。

これ、親切なゲームなら「12人全員と会わないとダメだよ」ということをゲーム内で注意してくれたりするんですけど、そういうのは全然ありません。

それで進めさせておいて終盤に無言のダメ出し(イベントが発生しない)をしてくるという…やっぱり「ロマサガ」のような良くも悪くも突き放した感じです。ロマサガも進め方が悪いと最後の最後にしっぺ返しが来ますからね。

 

しかし、段階ごとに12→6→3→1と絞り込ませていくという発想は他のゲームにはないので、これもなかなか面白い。

そして唯一の救いは、「ときメモ」とちがって、誰かが傷心した場合でもほかのヒロインにほぼ波及しないことです。1年間かけて12都市を回っているうちに1人か2人くらいは「せつなさ炸裂」になると思います。それにうまく対処すればいい。

「せつなさ炸裂」になるとそのヒロインの好感度が急落、そのヒロインからの無言電話攻撃(主人公の最大体力値を減少させる効果があり、繰り返し発生するので放置はできない)が始まります。

無言電話攻撃が始まると、電話をかけ返しても家出しており電話ではフォロー不能になるので(携帯電話がない時代に家出してどうやって無言電話をかけているのかわかりませんが、公衆電話からかけてるのかも)、急いでその都市に行ってヒロインを探し出し、フォローする必要があります。

 

これがフォローのために探し回っている時の画面。5つくらいある場所のうちの一つにヒロインがいます。下に表示されているのはその移動先に行くために消費する時間とお金と行動力(体力)です。

 

f:id:sakyuutarou:20210627104256j:plain

 

右上のビルみたいなのが仙台市を表しています。

ちなみに、この家出したヒロイン探索の時だけ、鳴子温泉や松島、蔵王といった、仙台以外の観光地(市外マップ)に移動可能になります。

通常の仙台マップだと「サンモール一番街」「仙台市野草園」「青葉城址」「大崎八幡宮」しか移動先がありません。

これは他の都市も同じ。例えば大阪でも、なぜか家出探索のための市外マップになって初めて「大阪城公園」が出現します。

 

でも、これ、ちょっと変な気がしますよね。

宮城県に来たら、仙台市野草園より蔵王とか松島にデートに行くとかのほうがありそうな感じがするはずです。そもそも旅情を楽しむゲームならなおさらのこと。

 

推察するに、ゲーム製作の際、場所ごとの個性に対応したメッセージ&ボイスを作っている余裕がなかったのではないかと思います。

つまり最初は蔵王でも松島でも大阪城公園でも、全国各地の観光名所でデート可能な感じのゲームを構想していたはずなのです。

しかし、製作が切羽詰まってきて、サンモール一番街なら「買い物していこう」とか、松島なら「景色が綺麗だね」とか、大阪城公園なら「歴史のロマンがあるね」とか、そういう当たり前のセリフすら作っている暇がなかった(納期に追われていた)ので、もう場所とセリフを対応させるのは諦めたと思うんですね。

声優さんのボイスも収録する必要があっただろうし、そんな時間と費用はもうないと。

「でも、一応、各都市の市外マップ作っちゃったけど何か使いどころないかなあ」ということになって「家出したヒロインの探索先にすれば使えるんじゃね」ということになったんじゃないかと思います。

 

納期に追われ…スタッフの緊急会議でギリギリの判断…いい大人になってから遊ぶと、いろいろお察しできてしまうものです。

まあ、そんな由なしごとを想像しながら遊ぶのも面白い…かも?